ニューヨークでの生活において、住まい選びは非常に重要です。
予算や交通アクセス、周囲の環境を考慮しながら、適切な物件を見つけるための情報を集めることから始めましょう。
経済的に一人暮らしをする余裕のある場合を除き、多くのニューヨーカーは複数人でシェア生活をしています。
各自個室を持ち、キッチン、リビングルーム(無い場合もあります)、バスルームをシェアするスタイルが一般的です。
ルームメイトと共同で家賃を負担できるため、コストを大幅に抑えることができます。
一般的なスタイルは、プライベートな個室が2~4部屋あり、バス、トイレ、キッチンを共有するというもの。
ニューヨークには築100年以上の建物が多くあり、4~5階建てならエレベーターが無いのが普通です。
水道管の構造上、古いアパートは洗濯機の設置が禁止されているので、洗濯はコインランドリーですることになります。(アパート内に共同のランドリールームが設けられていることもあります。)
建物自体は古くても内部を改装しているところは壁もきれいですし、キッチンもシステムキッチンになっていたりしますが、床の歪みやきしみがあることは珍しくありません。
水道代と備え付けの暖房費は通常は家賃に含まれていますので、入居者が支払うのは家賃、電気代、調理ガス代、wifi代というところでしょうか。契約によっては、家賃に光熱費がすべて含まれている場合もあります。
部屋は家具付きと家具なしがあり、家具付きの場合でもマットレスと小さな机のみというものから、テレビ、ベッド、学習机、タンス、クーラーが揃っている所もあります。窓に取り付けるタイプのクーラーは、取り付けるとその窓の開閉はできません。使用しない冬の間、隙間風が入って寒い場合は取り外すと良いでしょう。
キッチンには基本的に冷蔵庫とオーブンがあり、その他の電化製品(電子レンジ、トースター、炊飯器など)の有無は物件によって異なります。
アパートには通常「スーパー」と呼ばれる管理人がいて、クーラーの取り外しや、ドアの修理など、自分でできないことは頼むとやってくれます。スーパーがいない住居の場合は、オーナーまたは管理会社に聞いて対処してもらうと良いでしょう。
シェアアパートメントの部屋探し
インターネットの掲示板で情報を見るときのチェックポイントは下記の通りです。
日本語の掲示板に入居者募集の記事を載せている人は次の4つの内のいづれかです。
・アパートのオーナー
・不動産屋
・アパートの賃貸契約者(リースホルダー)
・オーナーの代理人
日本語の掲示板に募集記事を載せている人で多いのは不動産屋とリースホルダーです。
不動産屋が募集をしている場合は仲介手数料がかかります。
仲介手数料は家賃の1か月分というところもあれば、年間家賃の15%というところもあります。
デポジットと違い、退去時に返金されるものではありません。
不動産屋は契約成立までが仕事で、入居後のトラブルには通常関与しません。小さなことでも気になる点があれば、契約前にクリアにして、必要であればサインをする前にきちんと契約書に書き入れてもらいましょう。
オーナーによって入居審査が厳しい物件も多々あります。
一人暮らし、またはリースホルダーになってルームメイトを募集したい場合は、直接オーナーとやり取りするよりも不動産屋を通して契約する方が無難です。特に英語の苦手な人は、日本語の通じる人がいる不動産屋(日系不動産屋に限らず)を利用することをお勧めします。
リースホルダーが募集する部屋にあなたが入居する場合は、オーナーではなくリースホルダーと契約を交すことになります。
仲介手数料は不要です。リースホルダーは一緒に住んでいる場合もありますし、別に住んでいる場合もあります。
検索キーワード:「ニューヨーク 住まい シェア」など。
選ぶポイント
見学時のチェックポイントです。
こだわりがある点については、見学前の問い合わせ時に確認しておくと良いでしょう。
ニューヨーク到着前で見学に行けない場合は、問い合わせの際に可能であれば各項目をチェックしてみてください。
【ポイント① 治安】
治安は当然家賃と比例しますが、ブルックリンやクイーンズの物件の中には、治安よりも「マンハッタンへののアクセスが便利」ということが強調されているケースも見受けられます。
そもそも「絶対に安全」と言い切れる場所はありませんが、治安があまり良くないと思われる地域の特徴を挙げておきます。
・道に落ちているゴミが他の地区と比べて多い
・建物に落書きが多い
・人が怒鳴りあっている
・平日昼間、目的もなく道に立っている人が多い
地下鉄の駅を降りて地上に上がったときに、辺りの様子がおかしいと気づいたら、歩き回らずに引き返しましょう。
交通の便については、最寄駅が何線の何駅かということと同時に、駅からアパートまでの距離や環境を確認してください。
とにかく、夜中でも危険を感じることなく家まで帰られることが大切で、気をつけなければならないのは、地下鉄の中よりも駅からアパートまでの道中です。夜の公園は犯罪が多いので、決して中を通って帰るなんてことはしないように。
【ポイント② 部屋】
・部屋は何階か
・エレベーターはあるのかないのか
・部屋は完全個室か、それともカーテンや棚で仕切られているだけか
・部屋に鍵はついているか(ついていない場合も多い)
・窓はあるか(あれば外の景色をチェック)
・クローゼットはあるか
・暖房設備はあるか
・WIFIは繋がるか
【ポイント③ 家具】
・家具付きか家具なしか
・家具付きの場合は何がついているか
・窓がある場合、カーテンまたはブラインド、網戸はあるか
・照明はあるか
・クーラーは設置されているか(無くても普通)
・暖房は効いているか(冬の場合)
【ポイント④ 共有スペース】
・共有スペースはどこか(キッチン、バスルームが多い。リビングはある場合とない場合がある)
・共有スペースはきれいか
・お湯は出るか
・トイレットペーパーや洗剤などは誰が購入しているか
・ゴミ捨て場はどこか
・ゴミ捨てや掃除当番などルールはあるか
・冷蔵庫や食器棚は各自の場所があるのかないのか
【ポイント⑤ ルームメイト】
一緒に住む人です。できれば、どんな人が住んでいるのか知っておきたいですね。
・何人で住むのか
・日本人なのか日本人以外なのか
・カップルはいるのか
・性別、年代
・学生なのか社会人なのか
ルームメイトは自分の入居後すぐに入れ替わるという可能性もありますので、あくまでも入居時の状況およびオーナーの意向として把握しておきましょう。
【ポイント⑥ その他】
・ゲストの宿泊、ペットの飼育、喫煙、カップルでの入居などについてルールはあるか
・スーパーマーケットはどこにあるか
・コインランドリーはどこにあるか
・留守中に荷物が届いた場合は置く場所があるのか無いのか
物件を見に行った時にアパートの周辺を歩いてみましょう。
通りの雰囲気や飲食店の有無、スーパーマーケットやコインランドリーの場所、周辺住人の様子などを見ると、どういった環境なのかよくわかります。
【ポイント⑦ 契約する相手】
物件と同じくらい大切なポイントは、契約をする相手です。
これからお世話になる人、何かあった時は頼らなければならない人、場合によっては一緒に住む人です。
見学時の対応の仕方、質問をしたときの答え方や世間話をする中で見え隠れする性格など、好印象かどうか。
【ポイント⑧ 物件を確保する】
気に入った物件があれば、見学時にその場で決めてしまいましょう。
転居の少ない冬の時期を除けば、どの地域も入居希望者が多く、良い物件は取り合いになります。
普通は、デポジットを全く支払わずに口約束だけで仮押さえはしてもらえません。
なぜなら、見学に来る人はいくつも同時に物件を見て回っていて、口約束など当てにならないことは貸す側もよくわかっているからです。
借りたいと思ったら、その場で伝え、手続きについて具体的に話を進めましょう。
何軒か見てから比較検討することはもちろん可能ですが、あまりのんびりしていると次々と他人に取られてしまって、条件の悪い部屋しか残らないということもあります。
タイミングが難しいところです。
契約時の注意点
契約は、自分がリースホルダーとなってオーナーと契約をする、または、ルームメイトを探しているリースホルダーと契約をする、このどちらかになります。
契約時には必要書類、デポジット、入居月の家賃を持参するのが一般的ですが、リースホルダーとの契約の場合は柔軟性があります。
リースホルダーというのは、いわば自分と立場のあまり変わらない入居者です。契約の内容を細かく書いている人もいれば、とても大雑把な人もいます。中には、口約束だけで契約書や規約すら用意していない場合もあります。
入居してから揉めないためにもデポジットの返金や家賃の支払い方法など、最低限必要なことは書面で確認できるようにしておきましょう。
家賃の支払い期日および支払い方法(小切手、現金、振込みなど)、支払いが遅れた場合のペナルティ、退去時のルールなども確認しましょう。
契約書の内容はよく読み、理解できないままサインをしないようくれぐれも注意が必要です。
入居時
入居先に着いて鍵を受け取ったら、一度自分で開閉してみましょう。
建物によっては、建物入口、中扉、郵便受け、玄関、個室と、5つも鍵を持たなければならないことがあります。
古い建物の場合、日本のようにスムーズに開閉できないドアが多く、コツがいることもよくありますので、必ず入居時に実際に開け閉めをしてみることをおすすめします。
冷蔵庫やキッチン棚の仕分け、バスルームの備品の置き場所、トイレットペーパーや台所洗剤などの購入ルールなどを確認しましょう。
ルームメイトと顔を合わせたら自己紹介しましょう。
ゴミの出し方、共有スペースの掃除、郵便物のチェックなど、ルールや役割分担など、再度ルームメイトに聞いてみるのもコミュニケーションのきっかけになって良いですね。
3~4人の共同生活であっても、ほとんどお互いのことを何も知らずに生活をしているケースもあります。
ルームメイトとどの程度親しくしたいかは人それぞれ考えが違いますので、お互いプライバシーを侵害することなく、ほど良い距離をもって生活することが上手くいく秘訣です。
とは言え、名前と連絡先ぐらいは交換しておけば、何かあったときに助かることもあるでしょう。
入居後のトラブル
ロックアウト
日本人がよくやる失敗としてロックアウトがあります。
鍵を持たずに外に出てしまい、締め出されてしまうことです。
自分の部屋の鍵もそうですし、玄関ドアなどルームメイトと共有している箇所の場合もあります。
ロックアウトされたときは、共有部分であればルームメイトに連絡をして開けてもらうのがいちばん簡単ですが、誰も在宅していない場合や連絡がつかないときは、リースホルダーまたはオーナーに連絡をして対処法を相談してください。
ルームメイト間のトラブル
ルームメイト同士のトラブルとしては、生活ルールを守らない、自室での音楽や電話の話し声の騒音、来客マナーなどが挙げられます。
掃除やゴミ捨てに関しては、綺麗好きとそうでない人がシェアしている場合、双方にとってストレスとなります。
不満が積らないうちに話し合って歩み寄ることが大切です。
また、帰宅時間や就寝時間もまちまちのため、夜間の物音も気になることがあるかもしれません。
日本と違い、アメリカの家には敷居がないので、各部屋のドアの下には隙間があり、音が漏れやすい構造になっています。
基本的に午後10時以降はドアの開閉や電話の話声には気をつけましょう。
来客のルールは、宿泊禁止、一泊のみ可、連泊の場合は有料など、アパートメントにより異なります。
宿泊を伴う客がいれば、バスやトイレなど共有スペースを使う人数が増えるので、ルームメイトのストレスになることが容易に考えられます。
オーナーやリースホルダーとのトラブル
何も問題なく過ごせることが理想ですが、まれに契約が切れる前に退去を命じられた、雨漏りや水回りの壊れた箇所をすぐに修理してくれない、冬に暖房を入れてくれないなど大小様々なトラブルが起こります。
また、退去時にデポジットを返してくれないなど悪質なオーナーやリースホルダーがいます。
日本人は平和ボケしていたり英語力が乏しかったりで、比較的簡単に騙されますし、騙されても訴えることなく泣き寝入りします。
そうならない為にも契約書の内容を理解した上でサインすることが大切です。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
家賃が高い、アパートは古い、部屋は狭い、シャワーのお湯はなかなか出ない、コインランドリーは遠い…etc.
「日本の方が暮らしやすかったなぁ」と感じることもあるかもしれません。
それでも、多くの人がこの街に住み続けるのは、ニューヨークが唯一無二の輝きを放つ場所だから!
ここでしか味わえない、ワクワクする体験が無限に広がっています。
どうか、楽しんで、面白がって、ニューヨーク生活を満喫してください!